2019-01-01から1年間の記事一覧

イタリアの片田舎の広場

家から自転車でほんの5分のところに小さな入り江がある。横浜港から入り込んでいる川がそのまま舟入場として公園のようになっている。このあたりはハゼ釣りの名所と呼ばれているらしいが、実は釣りをしている人をあまり見かけたことがない。私はこの場所が好…

不細工なガジュマル

少し体調を崩しているうちに速足で夏が来てしまった。奥の部屋で冬眠させておいたガジュマルを今日やっとベランダに出すことができた。水をたっぷりともらったガジュマルがうれしそうに青空に揺れている。いまからもう15年ほども前に息子と行った沖縄の久米…

サンフランシスコの蘭

知人のKさんのお父様が母の霊前に手向けてください、と庭の黄色い美しい花を切り束ねて差し出した。 お父様はかなりのご高齢のはずなのだが、そうは見えず矍鑠とされていてゴルフに出かけたり飲み会に行ったり、何よりも広大な素晴らしい庭の無数の草花を奥…

旅は、続く。

旅を続けてきた。 いいかげんな人生だったが、旅をすることにはこだわり続けた。 旅に出るために日常生活を送り、旅の合間に仕事をした。 いつもの旅の終わり。東京へ向かう夜のフライト飛行機の中からもう次の旅は始まった。 旅が終わろうとするその寂しさ…

春の魚は?

三月に入り、菜種梅雨が続いている。傘の花の一輪になって駅に向かって人の波にまぎれていく夕暮れはすこしばかり寒々しいが、ひと雨ごとに春めいてくこの季節、あと少しの辛抱だという前向きな気持にもなれて新しい何かが始まる予感がする。 さて、春の旬の…

代官山でティオペペを

ひと昔前、代官山に事務所を構えていた。バブリーな時代で、苦い失敗や思い出もたくさんあったが、今思うと、古き良き時代だった。まだツタヤもなく、タワーマンションではなく同潤会のアパートがあり、東横線の駅ものどかに地上にあった。事務所は代官山プ…

ホワイトデーはすぐにやってくる

2月はバレンタイン。 チョコレートをもらうのはいくつになってもうれしいものだ。春が待ち遠しいまだ寒さがきびしきこの頃、本命チョコでも、義理チョコでも、ばらまきチョコでも、渡されるときは、心がちょっぴり春めいて、うれし恥ずかし、ほっこりとでき…

たとえば、サバ。

たとえば、冷凍庫の片隅にぽつりと残っているひからびた塩サバの切り身。 たとえば、新鮮な群青の鮮やかな魚体を光らせる、丸々と太った獲れたての、大分あたりの関鯖や三浦半島で上がる、一本釣りの松輪鯖の切り身ならまだわかる。 でも、この鯖は「鯖」で…

一期一会

月におおよそ一度、音楽関係の仕事で新潟に行く。もうかれこれ15年は通っていて、まだ若くてやんちゃな時代には飲み友達もいっぱいいて、行きつけのお店が何軒もあり、一日の仕事なのにその前後の夜においしい新潟の肴と酒を楽しんだものだ。 飲み友のひとり…