春の魚は?

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三月に入り、菜種梅雨が続いている。傘の花の一輪になって駅に向かって人の波にまぎれていく夕暮れはすこしばかり寒々しいが、ひと雨ごとに春めいてくこの季節、あと少しの辛抱だという前向きな気持にもなれて新しい何かが始まる予感がする。

さて、春の旬の食べ物のことを書こうかといろいろ考えていた。

タラの芽の天ぷら、タケノコもいいし、やわらかい春キャベツや新玉ねぎ。あさりもふっくらと太ってくる。

ところで春の魚は何だろう?

調べると桜鯛などが出てくるが、魚に春と書く「鰆」という魚がいる。サワラと読む。光物の系統ながら白身系の性格もあわせ持つおいしい魚だが、実は関東ではあまり存在感がない。刺身も西京焼も食べたことがあるがあまりピンとこない。しかし、関西、特に岡山あたりでは魚と言えばこのサワラなのだという。魚の王様らしいし、まさにそのあたりでは旬の食材なのだが、回遊魚のため関東では春にはあまり水揚げされない。

私とサワラの出会いは、少し前のことになるが東京のスーパーで「サゴチ」と書かれた小さな切り身を見つけ、聞いたことがない名前だったので、買って調べてみたらサワラの子供ということが分かった。

このサゴチをオリーブオイルでソテーしてみたらとても美味だった。オリーブオイルとの相性が抜群でトマトとも合う。こんなにイタリアンしている魚はないと思ったものだ。

さて、今日は魚屋でサワラの切り身を見つけた。足のはやい魚ですぐに独特の臭みが出るが、これは新鮮で見事なサワラだ。思わず購入。極上のオリーブオイルと塩コショウだけでソテーしてみる。少しソテーした桃太郎ではなくファースト・トマトを添えてもいいかもしれない。白ワインでいただこう。

うん、料理はシンプルが奥深くていい。

魚屋の店頭で銀色にピカピカ光っているサワラを見つけたら迷わず購入。わが愛するギリシア神の雫オリーブオイル、モリア・エレアを贅沢にふんだんにかけまわしてささっとソテーでもしてごらんなさいな。

よく冷やした白ワイン片手に極上のデイナータイムの始まりだ。