イタリアの片田舎の広場

家から自転車でほんの5分のところに小さな入り江がある。横浜港から入り込んでいる川がそのまま舟入場として公園のようになっている。このあたりはハゼ釣りの名所と呼ばれているらしいが、実は釣りをしている人をあまり見かけたことがない。私はこの場所が好…

不細工なガジュマル

少し体調を崩しているうちに速足で夏が来てしまった。奥の部屋で冬眠させておいたガジュマルを今日やっとベランダに出すことができた。水をたっぷりともらったガジュマルがうれしそうに青空に揺れている。いまからもう15年ほども前に息子と行った沖縄の久米…

サンフランシスコの蘭

知人のKさんのお父様が母の霊前に手向けてください、と庭の黄色い美しい花を切り束ねて差し出した。 お父様はかなりのご高齢のはずなのだが、そうは見えず矍鑠とされていてゴルフに出かけたり飲み会に行ったり、何よりも広大な素晴らしい庭の無数の草花を奥…

旅は、続く。

旅を続けてきた。 いいかげんな人生だったが、旅をすることにはこだわり続けた。 旅に出るために日常生活を送り、旅の合間に仕事をした。 いつもの旅の終わり。東京へ向かう夜のフライト飛行機の中からもう次の旅は始まった。 旅が終わろうとするその寂しさ…

春の魚は?

三月に入り、菜種梅雨が続いている。傘の花の一輪になって駅に向かって人の波にまぎれていく夕暮れはすこしばかり寒々しいが、ひと雨ごとに春めいてくこの季節、あと少しの辛抱だという前向きな気持にもなれて新しい何かが始まる予感がする。 さて、春の旬の…

代官山でティオペペを

ひと昔前、代官山に事務所を構えていた。バブリーな時代で、苦い失敗や思い出もたくさんあったが、今思うと、古き良き時代だった。まだツタヤもなく、タワーマンションではなく同潤会のアパートがあり、東横線の駅ものどかに地上にあった。事務所は代官山プ…

ホワイトデーはすぐにやってくる

2月はバレンタイン。 チョコレートをもらうのはいくつになってもうれしいものだ。春が待ち遠しいまだ寒さがきびしきこの頃、本命チョコでも、義理チョコでも、ばらまきチョコでも、渡されるときは、心がちょっぴり春めいて、うれし恥ずかし、ほっこりとでき…

たとえば、サバ。

たとえば、冷凍庫の片隅にぽつりと残っているひからびた塩サバの切り身。 たとえば、新鮮な群青の鮮やかな魚体を光らせる、丸々と太った獲れたての、大分あたりの関鯖や三浦半島で上がる、一本釣りの松輪鯖の切り身ならまだわかる。 でも、この鯖は「鯖」で…

一期一会

月におおよそ一度、音楽関係の仕事で新潟に行く。もうかれこれ15年は通っていて、まだ若くてやんちゃな時代には飲み友達もいっぱいいて、行きつけのお店が何軒もあり、一日の仕事なのにその前後の夜においしい新潟の肴と酒を楽しんだものだ。 飲み友のひとり…

2018年最後の夜は「ひとりバール」・・・・?

手の込んだイタリアンやスパニッシュ。たとえば、肉とトマトをフレッシュハーブとじっくり煮込んでラグーをつくる、とか。魚介類を何種類も買い集めペスカトーレやズッパをつくるとか。フレッシュラムを岩塩に包んでオーブンで焼くとか。休みの日は朝から白…

12月は大桟橋のワイン試飲会

毎年12月になると横浜の大桟橋の会場でワインの試飲会がある。ワイン輸入商社の主催する小さなイベントだが、私の中では、ほんの少しだけ待ち遠しい、師走の横浜の風物詩イベントだ。 まず入り口で小さなショットグラスを受け取る。会場には世界各国からの赤…

秘密の場所、四季。

いちょうの落葉が黄色のじゅうたんをつくる頃、冬将軍を連れて12月がやってくる。 寒くて体を丸めても、心は忙しくちょっぴりウキウキしてくる季節だ。 黄昏時。 いつも通る街並にはこの時期、家々の窓や玄関にクリスマスのイルミネーションがだんだんと灯り…

モリア・エレア・神の滴レシピ①「昆布締めのスズキでつくるカルパッチョ」

さて、このブログではギリシアで生まれた極上「神の滴」エクストラヴァージンオリーブオイル「モリア・エレア」を使った秋谷銀四郎オリジナルの料理レシピを公開していこうと思う。私がであったオリーブオイルで極上でセクシーなオイルの領域を超えた「ソー…

真っ赤と真っ黄色

日曜日、朝一番の北陸新幹線に乗って上越妙高経由で高田に。豪雪で知られる日本のスキー発祥の町は厳しい冬を迎える前のひととき、おだやかな日差しに包まれていた。城址公園の一角にある高校に到着。新潟県内の高校の軽音楽部を活性化してネットワークを作…

東京のポールとロンドンのウナギ

ポール・マッカートニーの東京ドーム、今回はアリーナで楽しんできた。偉大な足跡を残してきたビートルズ、そしてポール。ジョンもジョージもいなくなってしまった今、リンゴとポールだけが偉大な歴史の生き証人だ。ポールがすごいのはそんなレジェンドの殻…

我が愛すべきパスタ、ボンゴレ・ロッソ

パスタは本当に奥が深い。だいぶ前にパスタ大全という分厚い本が日本でも出版された。確か講談社が日本版を出したと記憶しているが、なんと、イタリアのある料理家が5,000種類の古今東西のパスタのレシピを編纂したもので、ページを開くと、気が遠くなったも…

秋の終わり、ニューヨークのラビオリ。

秋が深まってくる10月から11月の季節が一番好きだ。 「10月は黄昏の国」というブラッドベリーの小説にそんなタイトルがあったように、この季節はこの薄暮の時間がなんだかとても長くてロマンティックな時間に感じられるからだ。 「マジックアワー」。ビーチ…